よく農家の間で言われる、
「うちのお米がイチバン!」。
たしかに。
自分の土地で自分の手で育てたもの。
どういう肥料でどういう風にどんな人間が育てたお米なのか、
作り手の農家自身がちゃんとわかっている。
もうその過程だけでイチバンだ。
自分のお米に自信があるのは、
もちろん素晴らしい事だけれど、
でも果たして本当にそうなんだろうか・・・・?
と、
疑問に思うこともシバシバ。
農家だからこそ、
実は他の農家や他の産地や他の品種のお米の事を、
よく知らないことが多かったりする。
だって、
食べるお米は山ほどあるんだもん。
わざわざ買ってまで食べる農家はあんまりいない。
なのに、
「うちのお米がイチバン!」
って、
やっぱりちょっとおかしいと思う。
芸能人が、
高級食材とそうでないものとを目隠しで食べ比べする番組がよくあるけれど、
人間の舌ほど曖昧なものはない。
それは、
食品業界に身をおいていたともまる自身がよーく知っている。
以前NHKのお米に関する討論番組で、
農家や米に係る仕事をする方々が、
新潟のお米や中国産のお米を食べ比べていただけれど、
実際美味しさに変わりはなかったとコメントする人が多かった。
だから、
うちは、
「我が家のお米がイチバン!」と、
自信を持ってはとても言えない。
美味しいとは思うけれど、
断言できない。
お米の美味しさは、
その人の好みにも大きく左右されるし、
炊き方や器、食べる場所の雰囲気、室温、食べる人などなど、
その時の状況によっても変わってくるだろう。
何よりそのお米に、
どういう思い入れがあるか、
誰がどういう思いでどういう風にどんな場所で育てたお米なのか、
そんなストーリーを知っているのと知らないのとではまた、
味が違ってくるはずだ。
だから、
うちは、
「我が家のお米がイチバン!」と、
自信を持って言い切れない。
果たしてうちのお米、
主観ではなくて、
客観的にどれくらい美味しいんだろう?
見た目で判断する等級検査ではなくて、
味そのものを検査して判断して欲しい!
そういう思いで、
去年から出品しているのが米・食味分析鑑定コンクール。
おそらく私たちと同じ思いで、
全国から意欲のある農家などが自慢のお米を出品。
今年はその出品数は2700ほど。
濱田ファームからは3品を出品。
こだわり栽培コシヒカリ・減農薬コシヒカリ・無農薬コシヒカリ。
それぞれ、
どれくらいの客観的な数値がでるのか?
あれだけ苦労して作っている無農薬の数値が、
とにかく気になる!!
鑑定は、
1次審査が食味計。
静岡製機株式会社の食味計を使用。玄米。
(会社によって数値が異なるのでどの機械の食味計かはとても重要!)
水分・たんぱく質・アミロース・脂肪酸・食味値を計測、
85点以上で2次審査へ進出。
なんだけれど、
この85点というのがかなり高い数値・・・・。
ザクッとした見解では3分の2がここで敗退。
食味を追求している意欲あふれる農家のお米が、
高い壁にいきなり阻まれるわけです。
2次審査に進むと、
今度は精米したお米を株式会社東洋精米機製作所の味度計で、
味度値を計測。
1次審査の食味値と2次審査の味度値を合算して、
上位40名が最終審査へ。
この上位40名に残る方はもう、
それこそテレビで紹介されたりする有名な農家の方ばかり。
最終的には人間の舌での官能審査となり、
投票により金賞などが決まるわけですが、
2次審査までは機械がバサッ!と数値でお米を判断してくれるわけで、
客観的なお米の美味しさを判断するひとつの材料になると思います。
さて我が家のお米、
今年はいかに・・・・?
とドキドキしながらページをめくると・・・・。
こだわり栽培コシヒカリは食味値83。
残念!2次審査まであともう一歩!
でも堆肥を入れたり農薬を減らしたりと努力している事が、
数値にちゃんと表れていてうれしかったのも事実。
ちなみに去年は79だった。
点数がもちろん全てではないのはわかっているけれども、
でもやっぱりうれしい。
減農薬コシヒカリ87点!
うわっ!けっこうな高得点!!
ちょっとビックリ(笑)。
正直ここまで点数が出ると思わなかった(笑)。
去年は83。
こちらも去年より確実にあがっている。
そして最後に無農薬コシヒカリ。
去年は出品するお米がなく断念しただけに、
とても気になるところ。
結果は・・・・
89点!
やっぱり高い!!
この点にどんな意味があるんだ?
と思われる方もいると思うけれど、
でも正直やっぱりうれしい。
あの、
田植え直後から夏中ずーっとテデトール(雑草とひたすら手で取る事)してきた苦労が、
少し、本当に少しだけ(笑)だけど、
報われた気がする。
と同時に、
来年もやっぱりテデトールがんばろう!
という気持ちにもつながった。
減農薬・無農薬コシヒカリともに2次審査に進んだけれど、
結果は上位40名には残らなかった。
まだまだだ。
まだまだだ。
まだまだなのだ。
美味しいお米を作る道は、
まだまだまだまだまだまだ続くのだ。
コンクールもひとつの、
客観的なお米の美味しさをはかる方法だけれど、
こちらもうひとつご紹介。
一農家では大変珍しいと思うけれど、
食味計を持っている方が近くにいらっしゃる。
以前からお米は等級検査ではなく、
食味計での数値で美味しさや値段が決定されてもいいのでは?
と考えている方。
だから家に食味計。
こんな小さい機械なのにサンビャクマンエンだって・・・・。
その方にお願いして我が家の3種類のお米の、
それぞれの食味を計測していただいた。
機械はケット。
検品は玄米。
つまり、
一番点数がでない状況。
これは無農薬の数値で77。
減農薬は75、こだわり74。
計測の後は、
しばし今年の米作りや来年以降の栽培の課題など、
いろいろと教えていただく。
60を越えてなお、
有機栽培への熱い情熱とビックリするくらいの行動力を持っている方に、
敬意を抱くとともに、
改めて米作りのエネルギーをたくさんいただきました。
数値はあくまでも数値。
お米の美味しさを物語る全てでは絶対にない。
私たちはそう思っている。
でも、
数値はあくまでも数値。
お米の美味しさを正直にあらわしているのも事実だ。
数値を恐れず、
数値にとらわれず、
来年も美味しいお米を作りたい。
そしてそれをお客様にお届けしたい。
そう改めて思った濱田ファームでした。
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●マルシェ・ジャポンに出店します!
12月19日(日曜日)@青山国連大学前
減農薬コシヒカリ・こだわり栽培コシヒカリの300g&1.5kgの、
小袋と量り売り。
無農薬の米粉や米粉クッキーもあります♪
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
●お休みのお知らせ
12月18日(土曜日)~12月20日(月曜日)
マルシェ・ジャポン出店のため、上記の期間お休みいたします。
この間にいただいたお米のご注文については、
休み明けの21日(火曜日)に返答させていただきたいと思います。
ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いたします。
なお定期配達・発送の分については、
休み期間中でもお米をお届けいたします。
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平成22年産・新米の直売については、
こちらをご覧下さい。
Unknown
パチパチパチ、ブラボー!!
すごく感動しました。今までもパソコンの向こうから「頑張れ~」と応援(特に「テデトール」のときなど)しておりましたが、今日の文を読んで、本当に米つくりへの取り組みの深さに感動と、何か感謝の気持ちを持ちました。
それと同時に、農家の嫁となりながら、遠くに住んでいることで、今までお米はずっと親兄弟のお世話になっていることにもつくづく感謝です。
お米をもらう立場の私たちも他のお米を買ったことはありません。でも、濱田さんは、他のお米も買って試食されていますよね。プロです。本当にプロのすごさを知りました。これからも応援します。そして、いずれお米を買いに行きたいと思っています。
また、無農薬・減農薬・こだわりで、機械がそれぞれ数値で表していることにもびっくりです。そういう機械を作った人って・・・。
たしかに!
うちの両親も、他の農家のこと知らなかったり、他県のたんかんの味知らなかったりしますもん。
私は「徳之島産の特徴は?」って言われて答えられないとヒジョーに困るし、知っておきたい、と思ったので、他県のものも買ったりしております。貧乏だからあんまり買えないのが困っちゃうとこなんだけど・・・「たんかん5個ずつ食べ比べ」なんてやってみたいなぁ。
5個だけ買えるところ、ないかなぁなんて思っております・・・
おきらくかーさん
いつもコメントありがとうございます!
それにしても褒めすぎです・・・・。
ちょっと照れちゃいます・・・・(笑)。
今回の記事は、
点数に喜びうかれて書いてしまった感があり、
なんだかうかれてキーボードをバシバシたたき続けたら、
こんな文章になっちゃった、
そんな感じなのです。
ともまるには暑い!暑苦しい!
と言われちゃいました、
はははは。
でもこうしてコメントをいただけて、
応援という言葉を使っていただけて、
とてもとてもうれしく思っています。
ありがとうございます!
そして、
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
kinueさん
たんかん5個づつ試食、
いいですね~!
徳之島に行く前に沖縄を訪ね歩いて、
農家さんから分けてもらうとか・・・(笑)?
そういえば道の駅・許田(沖縄の本部)には、
たんかんがゴロゴロ置いてましたよ~。
お米は1kgからとかでも買える事が多いんですけど、
たんかんはなかなか難しそうですね。